AI活用型税理士が自分をSWOT分析|これからの税理士に必要な強みとは

独立して自分の事務所を持つようになってから、自分自身について考える時間が増えました。

勤務していたころは、目の前の申告書と締切のことで頭がいっぱいで、「自分は何が得意なのか」なんて、じっくり考える余裕はありませんでした。

でも、事務所を経営する立場になると、そうもいきません。
どの仕事を受けるのか。何にお金と時間を使うのか。どんな税理士だと思われたいのか。全部、自分で決めることになるからです。

そこで今回は、自分自身と事務所について、思い切ってSWOT分析をしてみました。お客様の会社に対してはよく使う手法ですが、自分に向けてやってみると、なかなかしんどいものがありました。

SWOT分析は、

  • Strengths(強み):自分が持っている武器
  • Weaknesses(弱み):自分に足りていないところ
  • Opportunities(機会):世の中の流れの中で追い風になること
  • Threats(脅威):このままだと危ないこと

の4つに分けて、現在地を整理する方法です。

上の2つは自分の内側の話(内部環境)、下の2つは自分ではコントロールできない外側の話(外部環境)。この区別が意外と大事で、「がんばれば変えられること」と「そういう時代だと受け入れて対応するしかないこと」が、きれいに分かれていきます。

実際に書き出してみると、これから何を伸ばすべきか、そして何を今はやらないと決めるべきかが、かなりはっきり見えてきました。


まずは全体像 ― 私のSWOT

先に、4つのマスに書き出したものをまとめて載せておきます。

プラス要因 マイナス要因 内部環境(自分) 外部環境(世の中) S | 強み 実務まで踏み込む力 AIを業務で使い・作れる 法人と相続の両輪 スピード/話しやすさ W | 弱み 代表への業務集中 やりたいことが多すぎる 事務所の歴史が浅い 続ける仕組みの弱さ O | 機会 AIの普及と人手不足 税理士の選ばれ方の変化 相続・事業承継の増加 地域×専門分野の余白 T | 脅威 記帳・申告の価格競争 AI活用の当たり前化 発信と情報管理のリスク 急成長による品質低下
図1:4つのマスに整理した現在地。四つ葉のうち、右側の2枚は正直あまり見たくない葉です。

ここから、一つずつ書いていきます。


Strengths ― 私の強み

1.税金の計算だけでなく、実際の業務まで見にいく

自分の一番大きな強みは、税金を正しく計算することに加えて、

「この会社の仕事、どうやったらもっと楽になるだろう?」

というところまで考えてしまうことだと思っています。

たとえば、こんなことです。

  • 給与明細の一覧表から、会計ソフトに取り込む仕訳データを作る
  • PDFやExcelでバラバラになっている情報を整理する
  • 毎月繰り返している転記作業をまるごと減らす
  • 数字の突合やチェックを自動化する
  • 社内で使う簡単な仕組みを作ってしまう

税理士の仕事というと、「申告書を作る」「帳簿を見る」「税務相談に答える」というイメージが強いと思います。もちろん、それが税理士として一番大切な仕事です。

ただ、実際に中小企業の経営者と話していると、困っているのは税金だけではないことがよく分かります。請求、給与、経理、資料管理、従業員の管理。毎日の細かい作業の積み重ねに、時間と気力を取られている会社は本当に多い。

税務・会計を入口にして、会社の仕事そのものを整えていく。ここまで踏み込めることが、私の強みの一つだと考えています。

2.AIを「知識」ではなく「実務」で使っている

もう一つの特徴が、AIの活用です。

とはいえ、私はAIエンジニアでもなければ、もともとITに詳しかったわけでもありません。勤務税理士だったころは、正直、AIを触る時間すらありませんでした。

きっかけは単純で、「これ、毎月やるの大変だな」「もっと簡単にならないかな」と思った仕事を、一つずつAIに相談していっただけです。

その結果、いまでは文章作成だけでなく、資料整理、数字のチェック、Excelデータの加工、会計ソフト用データの作成、定型業務の仕組み化まで、日常の業務にAIが入り込んでいます。

さらに最近は、必要なツールを自分で作ってしまうことも増えました。領収書の読み取り、申告書類の整合性チェック、消費税の税区分チェック、月次レポートの自動生成。「あったらいいな」と思ったものを、その週のうちに形にできる。これは思っていた以上に大きな武器でした。

私がAIについて話せることの強みは、「AIならこんなことができます」ではなく、
「実際の会社の仕事で、こう使っています」と実例で話せることだと思っています。

AI活用が広がるほど、「AIに詳しい人」よりも、業務を理解したうえでAIを使える人の価値が高くなるのではないかと考えています。

3.会社の税務も、個人の相続も、どちらも相談にのれる

これは、自分では長く「当たり前」だと思っていて、あとから強みだと気づいた部分です。

私は会計事務所で法人の申告をずっと担当してきましたが、それと並行して相続税にも取り組んできました。大学院では相続税をテーマに研究し、相続診断士の資格も取り、いまは相続診断協会のパートナー事務所にもなっています。

税理士の世界では、法人税を中心にする事務所と、資産税を中心にする事務所が分かれていることが少なくありません。でも、実際の経営者は分かれていません。

「会社の株を、いずれ息子に渡したい」 「実家をどうするか、そろそろ考えないと」 「役員報酬をいくらにするかは、退職金や相続まで考えると変わってきますか?」

会社の話と家の話は、経営者の頭のなかでは地続きです。会社のことも、その先の相続のことも、同じ相手に続けて相談できる。これは、規模の小さい事務所でも十分に価値を出せる部分だと思っています。

4.とりあえず試すのが速い/返事も速い

私は、気になるものがあると「とりあえずやってみよう」となるタイプです。AIもそうでしたし、ホームページ、ブログ、SNS、業務効率化も、走りながら直してきました。

大きな会社なら、検討 → 会議 → 稟議 → 予算承認 → 実行、という道のりになることでも、小さな事務所ならその日のうちに試せます。間違っていたら戻せばいい。よかったら伸ばす。

そしてもう一つ、意識しているのがレスポンスの速さです。

お客様から「これ大丈夫ですか?」と連絡が来るときは、たいてい判断に迷っていて、手が止まっています。完璧な回答を3日後に返すより、「今わかる範囲だとこうです、詳細は明日までに確認します」と当日中に返したほうが、会社は前に進めます。

速さは、規模では負ける事務所が勝てる数少ないポイントだと思っています。

5.「聞きやすさ」と「専門性」を両立させたい

税理士は専門家です。でもお客様からすると、「こんなこと聞いていいのかな」「基本的すぎて呆れられないかな」と感じることもあるようです。

実際に、以前の税理士には聞きづらかった、と話してくださる方もいます。

税務について正確に答えるのは当然として、それと同じくらい、難しいことを難しいまま話さないことも専門家の仕事だと思っています。分かりやすく説明するには、自分がその制度を本当に理解している必要があるからです。

6.学童保育という現場を知っている

私は税理士事務所とは別に、学童保育(放課後児童クラブ)の会計・運営支援にも取り組んでいます。関わりはもう10年以上になり、いまも十数団体を支援しています。

この現場で痛感するのは、会計の知識だけでは解決できない問題が本当に多いということです。

  • 人が足りない
  • 引き継ぎができていない
  • Excelが複雑になりすぎて誰も触れない
  • 担当者しか分からない作業がある
  • 毎年、役員が変わる
  • 資料がどこにあるか分からない

ここで学んだのは、「正しい会計処理」だけでは足りず、担当者が代わっても続けられる仕組みを残さないと意味がない、ということでした。

この感覚は、そのまま一般の中小企業への支援にも生きています。経理担当者が一人しかいない会社の課題は、学童保育の現場ととてもよく似ているからです。

7.遠回りしてきた経歴そのもの

最後に、少し照れくさい話です。

私は大学卒業後まっすぐ税理士になったわけではありません。塾講師をして、フリーターの時期があり、会計事務所に勤めて2科目取ったところで妊娠・出産を機に専業主婦になりました。その後パートとして事務所に戻り、もう一度受験して合格。大学院を経て、39歳で税理士になり、44歳で独立しました。

この経歴は、資格を取るまでは正直コンプレックスでした。

でも独立してみると、この回り道こそが、他の誰にも真似できない資産だと気づきました。

  • 思うようにいかない時期の焦りが分かる
  • 家庭と仕事の両立で削られる時間の重さが分かる
  • ゼロから始める人の不安が、想像ではなく実感として分かる

創業したばかりの経営者の方と話していると、「先生も遠回りしたんですね」と言われることがあります。数字の話をする前に、その一言で距離が縮まることがある。これは、経歴書には書けない強みだと思っています。

私の強みは、3つの層が重なったところにあります ③ 視点 ― 現場と人 学童保育の現場感覚/回り道した経歴/話しやすさ ② 道具 ― AIと仕組み化 業務でのAI活用/ツールを自分で作る/マニュアル化 ① 土台 ― 税務・会計の専門性 法人税・消費税の申告実務 + 相続・資産税(大学院での研究/相続診断士) 土台がなければ、上の2つはただの効率化ツールで終わってしまう。
図2:AIも現場感覚も、税務・会計という土台の上にあってはじめて意味を持つ、と考えています。

Weaknesses ― 私の弱み

SWOT分析は、強みだけ眺めていても意味がありません。むしろ本番はここからです。

1.仕事が自分に集中しやすい

小さな事務所の最大の課題です。

判断するのも私。お客様と話すのも私。税務判断をするのも私。新しいサービスを考えるのも私。情報発信をするのも私。

つまり、私が動かないと何も進まない状態になりやすい。

事務所が小さいうちは、これはあまり問題になりません。むしろ意思決定が速いという強みにさえ見えます。でもお客様が増えれば、確実に限界が来ます。しかも限界は、忙しさのピークで突然やってきます。

これからは、「私にしかできない仕事」と「他の人でもできる仕事」を分けることが本当に重要になります。今年から従業員にも入ってもらい、まさにその途中です。AIの活用も業務マニュアルの整備も、結局はここに効いてくると思っています。

2.やりたいことが多すぎる

これは強みの裏返しです。

新しいことに興味を持つので、「これもやってみたい」「あれもできるのでは」とアイデアが次々に出てきます。

税理士業務、相続、AI、業務効率化、ブログ、SNS、動画、地域の活動、新しいサービス。どれも事務所の成長に役立つものばかりです。

でも、経営資源には限りがあります。10個を少しずつ進めるより、「今はこれを伸ばす」と3つに絞ったほうが、成果は大きくなる。お客様にはいつもそう言っているのに、自分のこととなると難しい。

これからの私に必要なのは、「何をするか」以上に、「何を今はしないか」を決めることかもしれません。

3.事務所としての歴史が浅く、紹介の輪もこれから

独立してからの期間だけを見れば、まだ生まれたての事務所です。長く地域で経営してきた事務所と比べれば、歴史、顧問先数、紹介ネットワーク、組織の規模で、かなわない部分があるのは当然です。

特に紹介のネットワークは、時間を買うことができません。全国に8万人以上の税理士がいるなかで、紹介で増えていくのは、ある程度お客様がついてからの話です。最初の数件を自力で獲得することが、いちばん大変だというのが、開業してみての実感でした。

ただ、これは時間とともに薄れていく弱みでもあります。開業年数そのものは変えられないので、「新しい事務所だからこそ何ができるか」を考えるほうが建設的だと思っています。

4.「何でもできる」が、かえって伝わりにくい

税務、相続、経営、AI、業務効率化、学童会計、情報発信。

幅広くできること自体は強みです。ただ、外から見たときに、「結局、何が一番得意な税理士なの?」となってしまう危険があります。

実際、AI活用を前に出すと「効率化が得意な人」に見え、相続を前に出すと「資産税の人」に見える。どちらも本当なのですが、全部を同じ強さで発信すると、輪郭がぼやけてしまいます。

私の場合は「経営者の会社と家族のお金を、税務・会計とAIの力で整える税理士」。
ここが軸になりそうだと、今回の整理ではっきりしました。

5.始めるのは得意だが、続ける仕組みが弱い

これは書いていて一番耳が痛いところです。

ブログ、SNS、口コミのお願い、Googleビジネスプロフィールの更新。始めるところまでは勢いよくいくのですが、繁忙期に入ると、どうしても後回しになります。実際、開業当初にやっていた口コミ集めは一度止まってしまい、最近になって再開しました。

動画についても「やったほうがいい」と分かっていながら、手間の大きさを前に、まだ本格的には始められていません。

気合いで続けようとするから止まる。続ける仕組みを作らなかったことが、本当の弱みです。


Opportunities ― 外側にある追い風

1.AIの普及は、税理士にとって追い風になり得る

生成AIは急速に広がりました。ただ、「ChatGPTは知っている」という経営者は増えても、実際の業務にどう組み込めばいいのか分からないという会社は、まだとても多いと感じます。

経理、給与、請求、資料作成、情報整理、社内マニュアル。このあたりはAIと相性の良い分野です。

そして税理士は、毎月その会社の数字と業務の流れを見ている立場にあります。つまり、AIによる業務改善を提案する専門家として、税理士はかなり良い場所に立っているとも言えます。

2.中小企業の人手不足

「人を採用できない」「経理担当者が辞めた」「結局、社長が事務作業をしている」。この相談は年々増えています。

人を増やせないなら、一人あたりの仕事量を減らす仕組みを作るしかありません。AIやクラウドサービス、業務改善は、この課題と真正面から噛み合います。

「帳簿を作って申告する税理士」だけでなく、「会社のバックオフィスごと整えてくれる税理士」へのニーズは、これからさらに増える気がしています。

3.税理士の選ばれ方が変わってきている

以前は、知り合いから紹介された税理士にそのまま依頼するのが一般的でした。

いまは、検索エンジン、ホームページ、SNS、動画、そして生成AIへの相談まで使って、依頼する前に税理士本人の考え方を調べることができます。

これまで 知人・銀行からの紹介 そのまま面談・依頼 比べる相手がいない = 歴史と人脈が強い いま 検索・SNS・動画 + AIに「おすすめは?」と聞く 考え方・専門分野・人柄を 依頼する前に確認 納得したうえで問い合わせ 発信していれば、年数が短くても土俵に上がれる
図3:紹介だけの時代から、「調べてから選ぶ」時代へ。歴史の浅い事務所にとっては、むしろチャンスです。

ここは、実感としてもはっきり効果が出ている部分です。開業してから発信を続けた結果、いくつかのキーワードでは検索結果の上位に表示されるようになりました。

さらに驚いたのは、「AIに相談したら、この事務所を勧められたので」という理由でご連絡をくださった方が実際にいたことです。

紹介がゼロからのスタートでも、考え方を積み上げて発信していれば見つけてもらえる。これは、開業したばかりの事務所にとって、とても大きな変化だと思います。

4.相続の相談は、これから確実に増える

日本全体で、亡くなる方の数は増え続けています。基礎控除が引き下げられて以降、相続税の申告が必要になる家庭も広がりました。

同時に、中小企業の経営者の高齢化も進んでいます。会社をどうするか、株をどうするか、実家をどうするか。「会社の税務」と「家族の相続」を続けて相談したい人は、これから増えていくはずです。

ここは、法人と資産税の両方をやってきた自分にとって、正面から取りにいける分野だと考えています。

5.「地域 × 専門分野」というポジションはまだ空いている

税理士業界には全国規模の大手もあります。でも、真正面から規模で戦う必要はありません。

たとえば「名古屋で、AI活用に積極的な税理士」というポジションなら、競争相手は一気に減ります。そこに「創業期の会社」「経理の効率化」「相続」「学童保育の会計」といった要素を掛け合わせれば、輪郭はさらにはっきりします。

「何でもできます」ではなく、「○○なら、あの税理士に聞いてみよう」と思い出してもらえる存在になること。これが当面の大きな目標です。


Threats ― 目をそらしてはいけない脅威

1.単純な記帳・申告は、価格競争になりやすい

クラウド会計とAIが進化すれば、記帳、入力、単純なチェックは、これまで以上に自動化されていきます。

その結果、「帳簿を作ります」「申告書を作ります」だけでは、価格の勝負に巻き込まれやすくなります。業界全体の課題です。

これまで 記帳・入力・集計といった作業 判断・提案 AI・クラウド会計の進化 これから 作業 判断・提案・改善・伴走 作業の面積が減るぶん、判断の質がそのまま事務所の価値になる。
図4:自動化で困るのは、作業だけを商品にしている場合。価値をどこに置くかの問題だと思っています。

だからこそ、作業そのものではなく、判断・提案・改善に価値を移していく必要があると考えています。

2.AIを使っていること自体は、いずれ差別化にならない

いまは「AIを実務で使っている税理士」というだけで、ある程度の特徴になります。

でも数年後には、使っているのが当たり前になっているはずです。そうなれば「ChatGPTを使っています」では何も伝わりません。

大事なのは、AIを使えることではなく、どんな問題をAIで解決したのか。そのためにも、実際の業務改善の事例を、地道に積み重ねていくしかないと思っています。

3.AIの正確性と、情報管理のリスク

AIは便利ですが万能ではありません。税務について、自信たっぷりに間違えることがあります。しかも文章が自然なぶん、間違いに気づきにくい。

入力する情報の管理も同じです。税理士はお客様の大切な情報を預かる立場なので、どこまでをAIに渡すのかは、はっきり線を引いておく必要があります。

私が決めているルール:読み取りや下書きはAI、計算はプログラム、最終的な判断と責任は人。制度の確認は必ず条文や国税庁の資料などの一次情報にあたる。
AIを積極的に使うからこそ、「最後は専門家が確認している」という価値は、これまで以上に重くなると考えています。

4.発信することそのものにもリスクがある

これは、発信を増やすほど強くなる脅威です。

税務の情報は、制度改正で前提が変わります。去年正しかった記事が、今年は誤りになることがある。専門家が発信した誤情報は、そのまま信用の問題に直結します。

ですので、記事を書くときは必ず一次情報で確認し、改正があった場合には過去記事も直す。書きっぱなしにしないことが、発信を続ける以上の責任だと思っています。

5.成長のスピードが速すぎることも、リスクになる

お客様が増えるのは、もちろん嬉しいことです。

ただ、事務所経営では、仕事が増えることと、良い事務所になることは、必ずしも同じではありません。

受けすぎると、レスポンスが遅くなり、チェックが甘くなり、スタッフが疲れ、お客様一人ひとりに向き合う時間が減っていきます。私が一番気をつけなければいけないのは、たぶんここです。

売上を伸ばすことより先に、「仕事が増えても品質が落ちない仕組み」を作っておく。順番を間違えないようにしたいところです。

6.私が止まると、事務所が止まる

弱みの1番と裏表ですが、外部要因として書いておきます。

体調を崩したら。家族に何かあったら。小さな事務所では、それがそのまま事業の停止につながります。

「代わりがいない」というのは、聞こえは良くても経営としては脆い状態です。属人化を解消することは、効率化のためというより、お客様に迷惑をかけないためのリスク管理だと考えるようになりました。


SWOT分析から見えてきた、これからの方向

今回いちばんはっきりしたことがあります。

「普通の税理士事務所を大きくすること」は、私が目指している方向ではない。

私がやりたいのは、申告書をたくさん処理する事務所ではなく、お客様の会社そのものが、少しずつ良くなっていくのを支援する事務所なのだと思います。

税務・会計の専門性を土台にしながら、そこに、

  • AIの活用
  • 業務改善と仕組み化
  • 会社から相続まで見通す視点
  • 分かりやすい情報発信

を組み合わせる。これが自分らしい事務所の形なのではないかと感じています。

強みは伸ばし、弱みは仕組みで補う

SWOT分析をすると、つい「弱みをなくさなければ」と思ってしまいます。

でも、すべての弱みをなくす必要はないと思っています。新しいことに次々と手を出してしまう性格を、完全に変える必要はありません。それは同時に、変化への対応力という強みでもあるからです。

必要なのは、強みはさらに伸ばし、その裏側にある弱みを、気合いではなく仕組みで補うこと。

強みの裏にある弱み 補うための仕組み 行動が速い = 手を広げすぎる 半年ごとに「やらないこと」を決める 自分が業務を理解している = 属人化する 手順をマニュアルとツールに残す AIを積極的に使う = 誤りが混ざる 一次情報での確認手順を固定する お客様との距離が近い = 増えると回らない 受ける件数の上限を先に決めておく
図5:弱みは性格の問題として反省するより、仕組みに翻訳したほうが解決に近づく気がしています。

こう並べてみると、弱みもそれほど怖いものではありません。性格を変えるのは難しいけれど、ルールを決めるのは今日からできます。


これから目指したい税理士像

私は、「税金のことだけを相談する税理士」ではなく、経営者が仕事で困ったときに、最初に相談してもらえる税理士になりたいと思っています。

まず相談される 存在でありたい 「この作業、もっと簡単に ならない?」 「経理担当が辞めたけど、 どうしよう?」 「この数字、経営的には どうなの?」 「そろそろ実家と会社の株を どうするか考えたい」
図6:税金の質問より先に、こういう相談が来る事務所でありたいと思っています。

税務・会計という専門性を土台にしながら、AIや新しい技術を使って、中小企業の仕事を少しずつ楽にしていく。そして、会社のことも、その先の家族のことも、続けて相談してもらえる。これが、いま私が目指している事務所の形です。

数年後にもう一度SWOT分析をしたら、きっと中身は変わっていると思います。

そのとき、「当時はこれが弱みだったけれど、今は強みになった」と言える項目が一つでも増えていたら、独立してよかったと胸を張って言える気がします。

自社のSWOT分析をやってみたいけれど、どこから手をつければいいか分からない、という経営者の方も多いと思います。決算や月次の打ち合わせのついでで構いませんので、よろしければ声をかけてください。数字と一緒に、現在地を整理するお手伝いをいたします。

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