独立当初、新しいお客様は全然来なかった。44歳で独立した税理士の営業・集客のリアル

やってみた話 #1

「独立したら、お客様ってどうやって増えていくんだろう?」これから独立や起業を考えている方なら、一度は気になることだと思います。

私は44歳で独立した税理士です。令和7年12月に、名古屋市北区の大曽根で事務所を開きました。このシリーズ「44歳で独立した税理士の、やってみた話」では、一般的なノウハウではなく、私が実際にやってみたことを、そのままお話しします。

第1回のテーマは、営業と集客です。先にお伝えしておくと、最初から新しいお客様が次々に来たわけではありません。紹介サービスを使い、友人に紹介してもらいながら、仕事につながる道が少しずつ増えていきました。

なお、どの方法で何件のお客様につながったか、どれがいちばん効果があったかは、まだきちんと整理できていません。なので、この記事では書いていません。

独立する前から、私の「営業」は始まっていた

開業してからの話の前に、どうしてもお話ししておきたいことがあります。私の営業は、実は独立する前から始まっていました。

勤めていた頃に、学童支援の事業を立ち上げた

私は以前、会計事務所に勤めていました。その勤めていた時代に、学童保育の会計を支援する事業を、自分で立ち上げました。

学童保育は、共働きやひとり親の家庭の小学生が、放課後を過ごす場所です。保護者の方が中心になって運営している学童もあり、そこでも会計や給与の事務が必要になります。

そこを支える事業を、少しずつ大きくしていきました。そして勤めていた間に、10団体まで営業しました。

会社のものだから、お金を払って買い取った

ただ、この事業には一つ、はっきりさせておかなければならないことがありました。契約は、会社の名前で結んでいたということです。

実際に仕事を回せるのは私しかいませんでした。それでも、会社で契約したものは会社のものです。そこで独立するときに、会社からその事業の権利を、お金を払って買い取りました。金額は、3桁万円です。

税理士 眞弓倫子

自分で立ち上げて、少しずつ大きくしてきた事業でした。でも、会社で契約していた以上は会社のものです。だから、お金を払って権利を買い取りました。

営業というと「新しいお客様を取ってくること」を思い浮かべるかもしれません。でも私は、自分で育ててきた仕事を、きちんと買い取って独立したことも、一種の営業だったと思っています。

独立してからも営業を続けて、5団体増えた

独立してからも、学童の営業は続けています。その結果、勤めていた頃の10団体に加えて、独立後に5団体増えました。

さらに今、「来年の春から見てほしい」とお声がけいただいている学童様が1団体あります。まだ見込みの段階ですが、こうして少しずつ広がっています。

学童支援の事業の歩み勤務時代に学童支援の事業を立ち上げて10団体まで営業し、独立時に会社から権利を有償で買い取り、独立後に5団体増え、来春からの見込みが1団体ある流れ学童支援の事業の歩み勤めていた頃学童支援の事業を立ち上げ少しずつ広げて営業して10団体独立のとき契約は会社名義だったので権利を有償で買い取り(3桁万円)独立してから営業でさらに+5団体来年の春から見込みのお客様が1団体勤務時代の10団体 + 独立後の5団体
図1 学童支援の事業の歩み(令和8年10月時点)

だから、開業した12月から仕事はあった

この事業を持って独立したので、開業した12月から学童の年末調整がスタートしました。なので、それなりに仕事はありました。「仕事がまったくない時期」というのは、正直ありませんでした。

ただ、学童以外の新しいお客様となると、話は別です。独立当初は、新しいお客様が全然来ませんでした。ここからが、この記事の本題です。

最初は、税理士紹介サービスに頼った

新しいお客様が来なかったので、最初に頼ったのは税理士紹介サービスでした。私が使ったのは「ミツモア」です。

ミツモアとは

依頼したい人がサイト上で簡単な質問に答えると、登録している事業者から見積もりが届くしくみのサービスです。税理士への依頼も扱っていて、税理士事務所が事業者として登録できます。

出典:株式会社ミツモアのプレスリリース(税研情報センター掲載)、ミツモア事業者登録ページ

税理士紹介サービスを使うことについては、同業の中でもいろいろな考え方があります。そのあたりの私の考えは、最後の「振り返って思うこと」でお話しします。

友人の弁護士から、お客様を紹介してもらった

次につながったのは、友人の弁護士からの紹介でした。

紹介していただいたお客様からは、次のようなお仕事をお受けしました。

  • 贈与税の試算
  • 確定申告

友人がつないでくれたご縁で、こうしたお仕事をお受けしました。

ホームページから、問い合わせが来るようになった

そのうち、事務所のホームページから問い合わせが入るようになりました。

「AIで探しました」と言われるように

問い合わせをくださった方に「どうやってホームページを見つけたんですか?」と聞いてみると、「AIで探した」「AIに紹介された」という答えが返ってくるようになりました。

実際に、AIに事務所を紹介されたことがきっかけで、顧問契約になったお客様が数件あります。

検索でも、見つけてもらえるようになった

あわせて、Googleなどの検索でも、「名古屋市 女性税理士」「名古屋市 税理士 AI」と調べたときに、上位に表示されるようになりました。

ホームページには、制度の解説や私自身の考えを書いたブログ記事のほか、無料で使えるシミュレーターなども載せています。私自身がAIを使って仕事をしている「AI活用型税理士」なので、AIに事務所のことを正しく紹介してもらえるようにも意識しています。

ホームページから問い合わせが届くまで事務所のホームページを、検索で見つけてもらう道と、AIに紹介してもらう道の二つがあり、そこから問い合わせが届き、AI経由で顧問契約になったお客様も数件ある問い合わせが届くまで事務所のホームページブログ記事・無料のシミュレーター検索で見つかる「名古屋市 女性税理士」「名古屋市 税理士 AI」で上位に表示AIに紹介される「AIで探した」「AIに紹介された」お問い合わせAIの紹介がきっかけで顧問契約になったお客様も数件
図2 ホームページから問い合わせが届くまで(検索順位は時期によって変わります)

交流会で、人とのつながりができた

独立してから、いろいろな交流会に参加しました。名古屋商工会議所の若手経営者の会「若鯱会」にも入会しています。

そうして人とのつながりができていく中で、お客様を紹介していただけるようになりました。

ただ、私の場合、交流会で「営業した」という感覚はあまりありません。

税理士 眞弓倫子

正直に言うと、仕事を取るために交流会に入ったわけではありません。どちらかというと、経営者の方と教え合いながら、自分が勉強させていただきたいという気持ちで入りました。

なので、参加するときの気持ちは「仲良くなりたい」です。

売り込むために参加していたわけではありません。それでも、仲良くなったつながりの中から、お客様を紹介していただけるようになりました。

以前一緒に働いた税理士からも、仕事の依頼が来た

思いがけないところからも、お仕事をいただきました。昔一緒に働いた税理士から、「相続のレビューをしてほしい」と依頼されたのです。

レビューというのは、ほかの税理士が作った申告書などを、別の目で確認するお仕事です。勤めていた頃に一緒に働いた方とのつながりが、独立してから、こういう形でお仕事につながることもあります。

仕事につながる道が増えていった流れ税理士紹介サービス、友人の弁護士からの紹介、ホームページとAI経由の問い合わせ、交流会でのつながり、以前の同僚の税理士からの依頼と、仕事につながる道が一つずつ増えていった流れ仕事につながる道が増えていった1最初に頼った税理士紹介サービス2贈与税の試算・確定申告友人の弁護士からの紹介3検索・AIに紹介されてホームページから問い合わせ4仲良くなりたくて参加した交流会でのつながり5相続のレビューを依頼された以前の同僚の税理士から※ 件数の多さや効果の大きさを表す図ではありません
図3 仕事につながる道が、一つずつ増えていった流れ

ほかにも、こんなことをやってみた

ここまでの五つのほかにも、独立してからいろいろなことをやってみました。うまく続いているものもあれば、止まってしまっているものもあります。正直にお話しします。

メディアに出てみた

  • 創業手帳のインタビューに掲載していただきました。副業から独立する前に知っておきたい、税金と独立準備の注意点をお話ししています。
  • YouTubeチャンネル「士業の成功レシピ」に出演しました。大学を卒業してから、どんな経緯で税理士になったのかという、私のキャリアのお話です。

身近な人に、独立を知らせた

高校の同級生のLINEグループで、開業したことを報告しました。

Googleの口コミを集めてみた

お客様にお願いして、Googleの口コミを集めることもしました。2回くらいに分けてお願いしたのですが、最近はまた止まってしまっています。

チラシを作ってみた……けれど

チラシも作りました。でも結局、配りませんでした。作っただけで終わってしまったものも、正直にあります。

ほかにもやってみたこと創業手帳のインタビュー掲載、YouTube士業の成功レシピへの出演、高校の同級生LINEでの開業報告、若鯱会への入会、Google口コミ集め(2回くらい、最近は止まっている)、チラシ(作ったけれど配らなかった)ほかにもやってみたこと創業手帳インタビュー掲載士業の成功レシピYouTubeに出演同級生のLINE開業したことを報告若鯱会若手経営者の会に入会Googleの口コミ2回くらいお願い最近はまた止まり中チラシ作ったけれど配らなかったうまくいったことも、止まっていることもあります
図4 ほかにもやってみたこと

振り返って思うこと

私には、ラッキーな部分があった

こうして振り返ってみると、私には最初から、自分で営業してきた学童の仕事がありました。

税理士 眞弓倫子

最初から自分で営業したものがあったので、ラッキーな部分はありました。でも、もしそれがなかったとしたら、やっぱり最初から仕事は取れなかったと思います。

全国にはたくさんの税理士がいます。紹介でお客様が増えていくのは、ある程度お客様がついてからです。最初の数件を取るのが、いちばん大変。それが私の実感です。

最初だけ、紹介会社を使ってもいいと思う

税理士紹介会社については、「使わない」という選択をする方もいらっしゃると思います。それも一つの考え方です。

それでも私は、こう思っています。

税理士 眞弓倫子

待っていても、お客様は来ません。ホームページを作っても、すぐには来ません。紹介といっても、最初から紹介になるわけではありません。

だから正直、最初だけは紹介会社を使ってもいいんじゃないかと、私は思っています。

最初の数件の壁と、私の考え待っていても来ない、ホームページもすぐには来ない、紹介も最初からは起きないという最初の壁があり、最初だけ紹介会社を使って、そこから少しずつ道を増やしていくという考え最初の数件の壁待っていても、来ないホームページも、すぐには来ない紹介も、最初からは起きない最初だけ紹介会社を使ってみるそこから少しずつ仕事につながる道を増やしていく
図5 最初の数件の壁と、私の考え

私の場合も、紹介サービスから始まって、友人の紹介、ホームページとAI、交流会、以前の同僚と、少しずつ道が増えていきました。最初から全部がそろっていたわけではありません。

まとめ

44歳で独立した私の営業・集客は、独立する前に立ち上げた学童支援の事業から始まりました。会社名義の契約だったその事業を、お金を払って買い取り、独立してからも営業を続けて、5団体増えました。

一方で、学童以外の新しいお客様は、最初は全然来ませんでした。紹介サービスを使い、友人に紹介してもらい、ホームページやAI、交流会、以前の同僚へと、仕事につながる道が少しずつ増えていきました。

これから独立する方、起業を考えている方に、私の経験から一つだけお伝えするなら、「最初の数件がいちばん大変」ということです。最初は、紹介会社のような使える手段を使ってもいい。そう私は思っています。

このシリーズでは、これからも「やってみた話」を、背伸びせずにお話ししていきます。

独立・開業の税金のこと、会社の税務や相続のことなど、お気軽にご相談ください。

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参考資料

  1. 株式会社ミツモア プレスリリース(税研情報センター「税研PRESS」掲載)
    https://www.zeiken.co.jp/zeikenpress/press/0009pp20220121/
  2. ミツモア「プロとしてミツモアに登録」
    https://pro.meetsmore.com/lps/pro
  3. 創業手帳「副業から独立する前に知らないと困る『税金と独立準備』の注意点を税理士に聞いてみた」
    https://sogyotecho.jp/mayumi-kaikei-professionalinterview/
  4. YouTube「士業の成功レシピ」出演回
    https://youtu.be/S5hJ3WAOmdQ

※本記事は令和8年10月時点の内容です。

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