妊娠5か月で仕事を辞めた日のこと
税理士を目指して勉強していた私が、長男を妊娠したのは簿記論と財務諸表論を取得したばかりの頃でした。
私の母は専業主婦で、いつも家にいてくれる人でした。ハンカチまできれいにアイロンをかけてくれる、そんな母。私もそうあるべきだと、疑いもなく思っていました。
「育児と家事と仕事の両立はできない。」
その思い込みのまま、妊娠5か月で退職しました。勉強もやめました。
生まれてくる長男のために育児書を読んで、料理を作って、編み物をして。仕事を辞めてからのその時間は、本当に幸せでした。
「完璧な母」を目指した私が壊れるまで
出産してから、その幸せは少しずつ変わっていきました。
泣いたらすぐ抱っこしなければならない。 ちゃんと昼寝させなければならない。 離乳食をちゃんと食べさせないといけない。 毎日笑っていなければならない。
「…しなければ」が積み重なって、私はどんどん自分を追い詰めていきました。
よく泣くようになりました。動悸がするようになりました。外に出るのが怖くなりました。
私はもともと完璧主義でした。仕事も勉強も、一生懸命やれば成果が出ました。だから子育てにも同じように向き合おうとしました。
でも、子育てには正解がないのです。
正解がないのに完璧を目指す。それがどれほど残酷なことか、壊れてはじめて気づきました。
「働きに出たほうがいい」という夫の言葉
夫に言われました。「働きに出て、少しこどもから離れたほうがいい。」
素直に受け入れました。家に籠って子どもと真正面から向き合い続けるのは、私には無理だと自分でもわかっていたから。
働きに出て、変わったことがあります。
お昼ご飯を、ゆっくり食べられるようになりました。たったそれだけのことが、本当に心を救ってくれました。
そして、改めて気づきました。会計・税務の仕事が、やっぱり好きだ。
少し子どもから離れたことで、育児への向き合い方も変わりました。
「働いてるもん、完璧にできるわけないじゃん。」
開き直りではありません。これは、自分を守るための大切な知恵でした。
隙間時間に勉強し続けた日々
その後、税理士試験の勉強を再開しました。家庭を持ちながら、仕事をしながら。
遊ぶ時間は、ほとんどありませんでした。時間があけば勉強。家事をしながら耳で音声を聞いて勉強。夫が子どもの寝かしつけをしてくれている間に、洗濯物を干しながら勉強。それが終わったら机に向かって勉強してから寝る。
今やれと言われたら、もう絶対にできません(笑)。
でも、あの日々があったから今があります。
夫の協力には、本当に感謝しています。全部任せていたわけではないけれど、子どもたちを見てもらえたことが、どれだけ支えになったか。頼ることは、弱さじゃない。それも、あの頃に学んだことです。
完璧じゃないから、「わかってくれそう」と思ってもらえる
今、私は独立して税理士事務所を持っています。完璧な母を目指していますか?完璧な経営者を目指していますか?
どちらも、目指していません。
人間は完璧じゃないんです。ロボットじゃないから。
でも、完璧じゃないからこそ「この人ならわかってくれそう」と思ってもらえることがある。そう感じています。
完璧じゃなくても、やりたいことをやってみる。わくわくすることに飛び込んでみる。失敗しても、それは成功に至るための重要な要素。失敗とか、実はないんです。
渦中にいるあなたへ
子どもが小さいうちは、本当に大変だと思います。私の子どもたちも、今は高校2年生と小学6年生。気づけば大きくなり、自分の時間もずいぶん増えました。
でも渦中にいた頃は、「いつまでこのしんどさが続くのだろう」と、私も思っていました。
だから言えます。時間が解決することは、必ずあります。
ただ、一つだけお願いがあります。健康だけは守ってください。食べること、寝ること。それだけはしっかりやって。無理して体を壊してしまっては、元も子もないから。
そして、将来なりたい自分の姿を、ありありと想像してみてください。
仕事も家庭も諦めたくない。そう思っているあなたを、私は全力で応援しています。
頑張りすぎず、頑張って。