親に届く「公金受取口座」の封筒、45日以内に確認を|子世代のチェックリスト

今週のチェックリスト

ご実家に、日本年金機構から簡易書留の封筒が届いていませんか。

令和8年8月から、年金を受け取っている方の年金を受け取った口座を、そのまま「公金受取口座」として登録する仕組みが始まりました。封筒を受け取ってから45日以内に断る書類を返送しなければ、登録に同意したものとして扱われ、手続きをしなくても登録が進みます。

このニュースを読んだとき、私は正直なところ「知らないうちに登録されるのは、なんとなくもやもやするな」と感じました。この記事では、親世代に届く封筒の中身と対応方法を公表資料をもとに整理し、子世代の方に今のうちに確認していただきたいことをチェックリストにまとめます。

そもそも「公金受取口座」とは

公金受取口座とは、給付金や税金の還付金などを国や自治体から受け取るために、マイナンバーと一緒にデジタル庁へ登録しておく預貯金口座のことです。登録できるのは1人1口座です。

あらかじめ登録しておくと、給付金などを申請するたびに口座番号を書いたり、通帳のコピーを付けたりする手間がなくなります。デジタル庁によると、公金受取口座で受け取れる給付金は、年金、高額療養費、税の還付金など160種類以上あります。

登録されるのは、金融機関名・支店・口座番号・名義などの口座の情報です。日本年金機構のQ&Aによると、年金の受給額や口座の残高などの情報をデジタル庁が取得することはありません。また、登録したからといって、給付金が自動的に支給されるわけではありません。受け取れるかどうかは、それぞれの制度の要件や手続きによります。

これまでは、マイナポータルや金融機関の窓口などで、本人が登録の手続きをする必要がありました。

何もしなければ登録される「特例制度」が始まった

令和8年8月に始まったのが、「行政機関等経由登録の特例制度」です。年金を受け取っている方の年金振込口座を、本人が手続きをしなくても公金受取口座として登録できるようにする仕組みです。

対象になるのは、こんな方です

特例制度の対象になる人 令和8年4月15日時点で65歳以上、年金を受け取っている、公金受取口座をまだ登録していない、の3つにすべて当てはまる人が原則として対象。すでに登録済みの人、令和8年4月に年金が支払われなかった人、国外に住んでいる人、共済組合等の年金だけを受け取っている人などは対象外。 3つすべてに当てはまる方が対象(原則) 1 令和8年4月15日時点で 65歳以上 (昭和36年4月16日以前生まれ) + 2 年金を 受け取っている + 3 公金受取口座を まだ登録していない 対象外になる主な方 ・公金受取口座をすでに登録している方 ・令和8年4月に年金が支払われなかった方 ・国外に住んでいる方 ・共済組合等から支給される年金だけを受け取っている方 など
図1 特例制度の対象になる方(出典:デジタル庁、日本年金機構の案内をもとに当事務所作成)

対象の方には、日本年金機構から簡易書留で「意向確認書」などの書類が届きます。週刊税務通信(No.3917)によると、書類は「公金受取口座に関する大切なお知らせです」と書かれた茶色の封筒に入っています。

封筒は、生年月日の順に届きます

発送は令和8年8月頃から令和9年2月頃にかけて、生年月日の順に行われます。日本年金機構の案内では、次のような予定になっています。

生年月日届く時期(予定)
昭和36年4月〜昭和30年10月令和8年8月頃
昭和30年9月〜昭和25年3月令和8年9月頃
昭和25年2月〜昭和21年7月令和8年10月頃
昭和21年6月〜昭和16年3月令和8年11月頃
昭和16年2月〜昭和13年2月令和8年12月頃
昭和13年1月〜昭和6年4月令和9年1月頃
昭和6年3月以前令和9年2月頃

出典:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」。年齢の若い方から順に届きます。

届いてから登録が終わるまでの流れ

意向確認書が届いてから登録完了までの流れ 日本年金機構から簡易書留で意向確認書が届く。受け取ってから45日以内に不同意申出書を返送しなければ同意したものとして扱われる。その後、日本年金機構からデジタル庁へ情報が提供され、到着から約3〜4か月でデジタル庁から登録完了の通知が届く。 封筒が届く 日本年金機構から 簡易書留で 受け取ってから45日以内 返送期限 「不同意申出書」の 返送がなければ同意扱い 情報の提供 日本年金機構から デジタル庁へ 登録完了の通知 到着から 約3〜4か月後 デジタル庁から届く
図2 意向確認書が届いてから登録が終わるまで(出典:デジタル庁、日本年金機構の案内、週刊税務通信No.3917をもとに当事務所作成)

ポイントは、「何もしない」と登録に同意したものとして扱われるという点です。45日は登録が終わる日ではなく、断るための返送期限です。実際に登録が終わるのは、封筒の到着から約3〜4か月後です。

登録されるのは「令和8年4月15日に年金を受け取った口座」

日本年金機構のQ&Aによると、意向確認書に書かれている口座は、令和8年4月15日に年金を受け取った口座です。そのあとで年金の振込先を変えた方は、今の振込口座と違う口座が書かれていることがあります。その口座を登録したくない場合は、不同意申出書を返送したうえで、マイナポータルや金融機関で希望する口座をご自身で登録します。

なお、公金受取口座に登録しても、年金の振込先が変わることはありません。

出典:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」よくあるご質問

不在で受け取れなかったときは?

日本年金機構によると、不在のときは差出人欄に「日本年金機構」と書かれた不在票が入ります。不在などで意向確認書を受け取れなかった場合は、意向を確認できなかったものとして扱われ、年金振込口座は公金受取口座に登録されません。

出典:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」

届いたら選ぶのは「3つの分かれ道」のどれか

封筒が届いたら、親御さんがどうしたいかによって対応が分かれます。

意向確認書が届いたときの3つの分かれ道 意向確認書に書かれた口座のまま登録してよい場合は手続き不要。別の口座を登録したい場合は45日以内に不同意申出書を返送し、自分でマイナポータルや金融機関で別の口座を登録する。登録したくない場合は45日以内に不同意申出書を返送する。 意向確認書が届いた 書かれた口座のまま 登録してよい 手続き不要 約3〜4か月後に 登録完了の通知が届く 別の口座を 登録したい 45日以内に返送 そのうえで、マイナポータルや 金融機関で別の口座を 自分で登録する 登録したくない 45日以内に返送 「不同意申出書」を切り離し、 目隠しシールを貼って 差出人欄を書いて返送
図3 届いたときの3つの分かれ道(出典:日本年金機構の案内、週刊税務通信No.3917をもとに当事務所作成)

なお、デジタル庁の案内によると、公金受取口座は登録したあとでも変更や抹消ができます。手続きはマイナポータルや金融機関で行いますが、公金受取口座の手続きを受け付けていない金融機関もあるため、窓口を使う場合は事前に確認しておくと安心です。45日を過ぎてしまった場合でも、あとから見直すことはできます。

詐欺にご注意ください

日本年金機構・厚生労働省・デジタル庁が、電話・SMS・メールで口座番号などを聞くことはありません。手数料などのお金を求めることもありません。デジタル庁も、公金受取口座の登録は無料で、登録手続きを理由にお金を求められたら詐欺の可能性があると注意を呼びかけています。

出典:日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」、デジタル庁「年金受給者の方へ」

封筒の内容について分からないことがあれば、日本年金機構の専用ダイヤル(意向確認書専用ダイヤル:0120-74-0011)で問い合わせができます。受付時間は案内ページでご確認ください。

登録された口座には何が振り込まれるのか

公金受取口座に登録されると、年金と同じ口座で、税の還付金や各種の給付金も受け取れるようになります。

令和9年4月から導入予定の「就業者負担軽減支援金」

令和8年9月15日、政府は飲食料品の消費税率の引下げとあわせて、「就業者負担軽減支援金」という新しい給付を令和9年4月から導入する大綱を閣議決定しました。関連する法案は、10月に召集予定の臨時国会に提出される予定です(週刊税務通信No.3917)。まだ法律として決まったものではありません。

大綱に書かれていること(要旨)

支援金は、個人を単位に、年度ごとに支給するものとされています。前年の勤労所得(給与収入をもとにした額と、一定額を超える事業所得などの合計)が一定額を超えることなどが要件で、具体的な金額や所得の基準は、これから決めるとされています。

支給を受けるには市町村長の認定が必要ですが、公金受取口座を登録していて、受給資格と金額が明らかな方は、市町村長が職権で認定できる仕組みが盛り込まれています。

出典:「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定)、自由民主党・日本維新の会の同名の大綱

与党の大綱では、令和9年度と10年度は、勤労所得が一定額を超えることに加えて、合計所得金額が上限以下であること、税や社会保険料の負担が一定の水準を超えることなどが要件として示されています。具体的な基準額や支給額は、まだ決まっていません。

勤労所得には公的年金は入らないため、年金だけで暮らしている方は対象になりにくい設計です。一方で大綱には、働いていて負担が現役世代並みの中低所得の高齢者も対象にする考え方も書かれています。親御さんが働いているかどうかで関わり方が変わりますし、働いている子世代ご自身にも関係する可能性がある制度です。公金受取口座がどう使われていくのか、親御さんの口座とあわせて、ご自身の登録状況も一度確認しておくとよいと思います。

税理士として、私はこう考えます

知らないうちに登録されるのは、もやもやする

税理士 眞弓倫子

このニュースを読んで最初に感じたのは、心配というよりも、なんとなくもやもやするという気持ちでした。知らないうちに自分の口座が登録される、というのは、やはり落ち着かないものです。

制度の仕組みとしては、封筒が届き、45日の間に断ることができ、登録したあとでも変更・削除ができるようになっています。だからこそ、「届いたことに気づいているか」「中身を誰かが確認しているか」が大切になります。離れて暮らしているご家族なら、なおさらです。

相続でいちばん大変なのは「財産の調査」

この封筒は、親御さんと「口座」や「お金」のことを話すきっかけにもなります。相続のご相談を受けている立場から、子世代の方にお伝えしたいことがあります。

税理士 眞弓倫子

相続が起きたときに一番大変なのは、親がどんな財産を持っているのかを調べることだと思います。

不動産は、固定資産税の課税明細書や名寄帳を取ればわかります。でも、まったく違う都道府県に土地を持っていることもあります。固定資産税がかからない土地だと、気づかないこともあります。だからこそ、生前にご両親から聞いておくことが必要です。

また最近は、郵便が届かず、ネットで完結する証券口座も多くなりました。ご両親がパソコンを使っている場合は、暗証番号などをいざというときに確認できるようにしておくなど、デジタル資産を把握しておくことが重要です。

少し補足します。名古屋市の場合、同じ区の中で同じ人が持っている土地・家屋それぞれの課税標準額の合計が、免税点(土地30万円、家屋20万円。家屋は令和9年度から30万円)に満たないと、固定資産税はかかりません。こうした資産や非課税の資産は、課税明細書には載りません。また名寄帳は、その市区町村の固定資産課税台帳をもとに、持ち主ごとに土地・家屋をまとめたものです。ほかの市区町村にある不動産は、それぞれの役所で確認する必要があります。課税明細書や名寄帳だけで、全国の不動産を把握できるとは限らないということです。

デジタル資産については、国民生活センターが、利用しているサービス名・ID・パスワードなどを一か所にまとめておくことを勧めています。一方で、パスワードを日ごろから家族と共有するのは思わぬトラブルにもなり得るとして、紙に書いて修正テープで隠して保管するなど、いざというときに家族が確認できる保管方法を紹介しています。

面倒なことほど、先送りしないで

税理士 眞弓倫子

この記事を読んだ方には、今のうちに確認してほしいと思っています。面倒なことは、先送りするともっと面倒になって降りかかってきます。

子世代のためのチェックリスト

次に親御さんと話すときや、実家に帰ったときに確認したいことをまとめました。全部を一度にやらなくても大丈夫です。できるところから始めてみてください。

チェックリストの3つのグループ 封筒が届いたら確認すること、親と話しておきたいこと、自分自身のことの3つのグループに分けて確認する。 いますぐ 封筒が届いたら 45日以内に判断 このきっかけに 親と話しておく 財産・口座・デジタル資産 あわせて 自分のことも 自分の口座の登録状況
図4 チェックリストは3つのグループで確認します
タップしてチェックできます 0 / 0 項目

封筒が届いたら

  • 親御さんの生年月日から、封筒が届く時期を確認した上の表のとおり、令和9年2月頃まで生年月日の順に届きます。
  • 日本年金機構からの簡易書留や不在票が届いていないか、親御さんに聞いた不在で受け取れなかった場合は、登録されません。
  • 意向確認書に書かれた口座(令和8年4月15日に年金を受け取った口座)が、今の振込口座と同じか確認したその後に振込先を変えた場合は、違う口座が書かれていることがあります。
  • その口座で給付金や還付金を受け取ってよいか、親御さんの意向を聞いた
  • 別の口座にしたい・登録したくない場合は、受け取ってから45日以内に「不同意申出書」を返送した目隠しシールを貼り、裏面の差出人欄を書いて返送します。
  • 電話・SMS・メールで口座番号やお金を求められても応じないよう、親御さんと話した日本年金機構・厚生労働省・デジタル庁が、こうした方法で口座番号やお金を求めることはありません。

このきっかけに、親御さんと話しておきたいこと

  • どこの金融機関に口座があるか(年金の口座以外も)を聞いた
  • 持っている不動産を聞いた。住んでいる場所とは違う都道府県の土地がないかも確認した固定資産税がかからない土地は課税明細書に載らず、気づかないことがあります。
  • ネット証券・ネット銀行など、郵便が届かない口座がないかを聞いた
  • パソコンやスマホを使っている場合、利用しているサービスの一覧と、暗証番号・パスワードなどをいざというときに確認できる保管方法を話し合った日ごろからの共有ではなく、必要なときに家族が確認できる形がおすすめです(国民生活センター)。

あわせて、自分のことも

  • 自分の公金受取口座が登録済みか、どの口座かを確認した登録や変更はマイナポータルや金融機関でできます(手続きを受け付けていない金融機関もあります)。
  • 「就業者負担軽減支援金」は、大綱に示された段階の制度案であることを知り、今後の法制化や正式な発表を確認するつもりでいる

まとめ

年金を受け取っている親御さんのもとには、令和9年2月頃にかけて、公金受取口座についての簡易書留が順番に届きます。受け取ってから45日以内に不同意申出書を返送しなければ、登録に同意したものとして扱われます。登録が終わるのは、封筒の到着から約3〜4か月後です。登録されるのは令和8年4月15日に年金を受け取った口座なので、別の口座にしたい、登録したくないときは、45日以内に返送します。

知らないうちに決まってしまうのは、もやもやするものです。だからこそ、封筒が届いたかどうか、中身を誰が確認するかを、ご家族で話しておいていただきたいと思います。

そしてこの機会に、口座や不動産、ネット証券のことまで、親御さんの財産について少しずつ聞いておきましょう。面倒なことは、先送りするともっと面倒になって降りかかってきます。今のうちの確認が、いざというときのご家族の負担を軽くします。

「親の財産、どこから聞けばいいんだろう?」「相続のこと、今のうちに相談しておきたい」という方は、お気軽にご相談ください。

相談を申し込む

参考資料

  1. 日本年金機構「年金振込口座の公金受取口座登録に関する意向確認書の送付」
    https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/ikokakunin.html
  2. デジタル庁「年金受給者の方へ:年金振込口座で給付金等が受け取れるようになります(公金受取口座に関するご案内)」
    https://digital-gov.note.jp/n/n80a86cd228fd
  3. デジタル庁ニュース「公金受取口座の特例制度が2026年8月スタート。年金受給者の給付金等の受取が簡単に」(令和8年7月31日)
    https://digital-agency-news.digital.go.jp/articles/2026-07-31
  4. 「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日閣議決定)
    https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kokuminkaigi/contents/20260915/01_siryou1.pdf
  5. 日本年金機構「意向確認書に関するよくあるご質問」
    https://www.nenkin.go.jp/tokusetsu/ikokakunin.files/QA.pdf
  6. デジタル庁「金融機関での公金受取口座の手続き」
    https://www.digital.go.jp/policies/account_registration/procedure-financial-institution
  7. 自由民主党・日本維新の会「飲食料品消費税率の臨時的な引下げ及び就業者負担軽減支援金の導入に関する大綱」(令和8年9月15日)
    https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/214205_2.pdf
  8. 名古屋市「固定資産税の免税点」
    https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1035069/1012012/1012042/1033977/1012054.html
  9. 名古屋市FAQ「課税明細書に記載されない資産」
    https://faq.city.nagoya.jp/faq/detail.aspx?id=707
  10. 名古屋市「名寄帳(なよせちょう)の写しの取得方法を知りたい。」
    https://www.city.nagoya.jp/kurashi/zeikin/1035069/1012012/1012042/1033979/1012067.html
  11. 国民生活センター「今から考えておきたい『デジタル終活』-スマホの中の“見えない契約”で遺された家族が困らないために-」(令和6年11月20日)
    https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20241120_1.pdf
  12. 週刊税務通信 No.3917(令和8年9月28日号)「公金受取口座登録の特例制度スタート」「政府・与党 飲食料品消費税率の引下げ等に関する大綱を決定」(税務研究会)

※本記事は令和8年10月3日時点の公表情報をもとに作成しています。就業者負担軽減支援金は、大綱に示された段階の内容です。制度の詳細は、各出典をご確認ください。

よかったらシェアしてください!