【確定申告・不動産譲渡所得】不動産取得時の契約書がなかったら…?「取得費不明」の不動産売却で税金を払いすぎないためのヒント

 こんにちは🍀名古屋市で活動している税理士の眞弓倫子です。 

 不動産を売却した(あるいは検討している)際、多くの方が直面するのが「当時の売買契約書が見当たらない!」というトラブルです。 「いくらで買ったか証明できないなら、売値の5%を取得費にするしかない」と諦めていませんか?

 実は、契約書がなくても、当時の資料を丹念に集めることで、より適切な取得費を計算できる可能性があるんです。今回は、大切な資産を守るための取得費の考え方についてお話しします。

目次

「5%の概算取得費」とは?

 通常取得費がわからない場合、売却収入の5%相当額を取得費として計算します(概算取得費控除) 。 例えば、5,000万円で売れた土地なら、取得費はわずか250万円。残りの4,750万円に対して税金がかかってしまうのです。

 しかし、もし実際にはもっと高い金額で購入していたとしたら……。その差額にかかる税金は、決して無視できない金額になりますよね。

諦める前に探したい「間接的な証拠」

 当時の契約書そのものがなくても、あなたの手元や公的な記録にヒントが隠されているかもしれません。以下のような資料を、まずは一緒に探してみましょう

  • 預金通帳やメモ: 実際にいくら振り込んだか、支払いの履歴はありませんか?

  • 住宅ローンの関係書類: 銀行からいくら借りたかの記録は、購入額を推測する大きな手がかりになります

  • 当時のパンフレットや広告: マンションなどの場合、当時の販売価格が記録されていることがあります

  • 抵当権の設定額: 登記簿を確認すると、当時いくら借入をしていたかが分かります

専門家が使う「推計取得費」という手法

 もし直接的な記録が乏しくても、専門家(税理士や不動産鑑定士)は推計という方法で、当時の妥当な価格を導き出すことがあります 。

  1. 鑑定評価による方法: 当時の状況を専門的に分析して価格を出します

  2. 過去の路線価や公示価格: 公的なデータをもとに、当時の価値を逆算します

  3. 市街地価格指数: 土地価格の変動率を使って、今の価値から当時の価値を割り出します

【事例紹介】中古マンションのケース

※税理士研修を受けた際に、聞いた事例です。 

 あるオーナー様は、購入したマンションの契約書を失くしてしまいました。 しかし、資料を調査したところ、以下のことが判明したのです。

  • ローンの記録: 公庫と民間から借りていた金額が把握できた

  • 成約事例: 同じマンションの同時期の部屋が3,000万円台前半で取引されていた

 これらを積み上げることで、少なくとも○○万円以上の取得費があった」と合理的に推測することができました 。もし概算取得費5%で申告していたら、大きな損をしていたかもしれません。

大切なのは「最初」の申告です

 ここで一つ、とても大切なアドバイスがあります。 一度5%で申告して税金を納めた後、後からやっぱり高い取得費が見つかったから、税金を返して(更正の請求)というのは、実は非常にハードルが高いのです

 特に推計による計算の場合、最初の申告(当初申告)で丁寧に根拠を説明することが、スムーズに認められるための鍵となります

一人で悩まず、まずはご相談を

 「資料が足りないから無理だろう」と決めつける必要はありません。 当時の地価の推移を調べたり、間接的な証拠を組み合わせたりすることで、道が開けることはあります。

 せっかくの不動産売却、納得のいく形で終えられるよう、ぜひ一度専門家へご相談ください。

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