こんばんは🍀名古屋市で活動する税理士の眞弓倫子です✨毎日、あっという間に過ぎていくので、ぼーっとしていると、ブログの更新頻度が下がっていきます…。最初は、「毎日、投稿!」と意気込んでいたのに(;^ω^)
さて、今日は相続税に関するお話を書こうと思います💡
中小企業の社長さん、自社の資金繰りのために会社にお金を貸し付けたり、事業承継の準備を先延ばしにしたりしていませんか?「万が一のときでも、会社が赤字だから相続税はかからないだろう(株の価値はないだろう。)」「事業承継はまだ先でいい」という思い込みが、実は残されたご家族や会社を窮地に追い込む原因になることがあります。社長が良かれと思って行った判断が、知らず知らずのうちに重い税金負担という「爆弾」に変わってしまう失敗事例をご紹介します。自分が万が一のときに会社や家族にどのような税金負担が発生するのか、この機会にぜひ見直してみましょう。
【失敗事例1】「赤字会社だから価値はない」は大間違い!放置された役員借入金に襲いかかる相続税
会社の資金繰りを助けるために、社長が個人のお金を会社に貸し付けることは珍しくありません。この「役員借入金(社長から見れば会社への貸付金)」について、「会社は赤字で債務超過なのだから、この貸付金に価値はない。相続税もかからないだろう」と考えて放置しているケースが非常に多く見られます。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
国税庁の財産評価基本通達205によると、社長が会社に貸し付けているお金は、原則として相続発生時に「貸付金債権」として、額面通りに相続税の課税対象となります。会社が単に赤字である、あるいは債務超過であるという理由だけでは評価額を下げることはできません。破産手続開始の決定など「回収が不可能又は著しく困難であると見込まれるとき」という厳格な要件に該当しない限り、額面通りに評価されてしまうのです。
この役員借入金を解消しようとして、安易に債務免除を行うことも危険です。会社側に債務免除益が発生し、法人税が課税されるリスクがあるほか、他の株主への贈与税課税が発生しないかなど、具体的なシミュレーションを行う必要があります。どのような方法で整理すべきかは、個別の状況に応じた慎重な確認が必要です。
【失敗事例2】「期限が延びたから安心」の罠。事業承継税制の特例措置、本当のタイムリミット
「事業承継税制の特例措置について、計画の提出期限が延びたからまだ準備しなくても大丈夫」と安心していませんか?これも社長が見落としやすい危険な判断の一つです。
国税庁の案内によると、法人版事業承継税制(特例措置)の「特例承継計画」の提出期限は、令和8年度税制改正により「令和9年(2027年)9月30日」まで延長されました。しかし、ここで注意しなければならないのは、実際に株式の贈与や相続を行う「適用期限」は「令和9年(2027年)12月31日」のままであり、延長されていないという点です。
計画の提出期限が延びたからといって、事業承継そのものの実行期限が延びたわけではありません。直前になって駆け込みで準備を始めると、会社が「資産管理会社」などの除外要件に該当していないか、あるいは後継者の要件を満たしているかといった個別要件の確認が間に合わず、特例の適用を受けられなくなるリスクがあります。タイムリミットを見誤らず、早期に動くことが極めて重要です。
【失敗事例3】規程がない、時期が遅い……。「死亡退職金非課税枠」が使えなくなる落とし穴
万が一のとき、残された遺族の生活を守りつつ相続税を抑える手段として「死亡退職金」があります。遺族が受け取る死亡退職金は「みなし相続財産」として、「500万円 × 法定相続人の数」という非課税枠が適用されるため、非常に有効な相続税対策となります。
しかし、この非課税枠を適用するためには「被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの」でなければならないという厳格なルールがあります。もし死亡後3年を経過してから支給が確定した場合は、受取人の所得税(一時所得)の課税対象となってしまい、相続税の非課税枠は使えなくなってしまいます。
さらに、会社に「役員退職慰労金規程」が整備されていない場合、支給した退職金が不相当に高額であるとみなされ、会社の損金に算入できない(損金不算入となる)リスクもあります。規程の有無や、想定される死亡退職金の額が適正であるかについては、類似法人の状況等から精査し、個別事情に合わせた確認を行っておく必要があります。
【対策】万が一のときに会社と家族を守るために、社長が今すぐ確認すべきこと
良かれと思った判断が会社や家族の負担にならないよう、社長は今すぐ自社の状況を把握する必要があります。まずは、会社への貸付金がいくら残っているのか、事業承継の計画は令和9年の期限に間に合うスケジュールになっているか、そして万が一のときの退職金規程は整っているかを確認しましょう。
これらの問題は、すべてが複雑に絡み合っています。役員借入金の解消(債務免除やDESなど)を行う際の実務判断や、事業承継税制の適用要件のクリア、退職慰労金規程の整備など、専門的なシミュレーションと準備が不可欠です。手遅れになる前に、信頼できる専門家へ相談することをお勧めします。
チェックリスト
- 会社への貸付金(役員借入金)の有無と、その額面総額を確認しているか
- 役員借入金を解消する際、会社側の法人税(債務免除益)や他株主への贈与税リスクをシミュレーションしているか
- 法人版事業承継税制(特例措置)の適用期限(令和9年12月31日)に向け、自社が「資産管理会社」などの除外要件に該当しないか確認しているか
- 役員退職慰労金規程が整備されているか
- 想定される死亡退職金の額が「不相当に高額」として損金不算入にならないか、適正額を精査しているか
🍀ご相談下さい🍀
万が一のときに、会社とご家族を守るための最適な備えはできていますか?役員借入金の整理や事業承継税制の活用、退職金規程の整備など、少しでも不安がある方は、当事務所へお気軽にご相談ください。貴社の現状を丁寧に分析し、最適な解決策をご提案いたします。
※本記事は一般的な情報の提供を目的としており、具体的な税務判断や手続きにあたっては、個別事情に応じた専門家(税理士等)への確認が必要です。実際の適用にあたっては必ず事前にご相談ください。