【自民党圧勝】公約の「食料品消費税ゼロ」は本当に実現する?ビジネス視点で感じる違和感…

 こんばんは🍀名古屋市で活動する税理士の眞弓倫子です✨

 先日、自民党が選挙で圧勝しましたね。 ニュースでは安定政権の継続と報じられ、街中もなんとなくこれで一安心という空気が流れているように感じます。

 そんな中で注目されているのが、今回の報じられていた「食料品の消費税を2年間ゼロにする」という方針。「毎日食料品の税金がなくなるなら、家計は大助かり✨」 一見すると、私たちの生活に直結する嬉しいニュースに思えます。

 しかし、普段ビジネスの現場に身を置いている私たちからすると、少し立ち止まって考えたくなるポイントがいくつかあるのです。 今回は、この甘い公約の裏側に潜む、実務的なハードルとある懸念について、少し冷静に紐解いてみたいと思います。

目次

「検討を加速」…?

 まず気になったのは、ニュースで繰り返される「検討を加速する」「国民会議で議論する」というフレーズです。私たちビジネスパーソンにとって、プロジェクトの検討という言葉ほど怖いものはありませんよね。直ちに行うではなく、あくまで検討。しかも、有識者を集めた国民会議を通すとのこと。

 これを聞いて、「あ、これはすぐには始まらないな」と直感した方も多いのではないでしょうか。議論だけが長引き、最終的に「システム改修が間に合わない」「財源の確保が難しい」といった理由で、トーンダウンしてしまう……。そんなやらないための理由探しの時間が始まらないか、少し心配になってしまいます。

「たった2年」のシステム改修…

 百歩譲って、このプランが実行されたとしましょう。そこで現場が頭を抱えるのが「実務のコスト」です。今回の公約は2年間の期間限定とされています。 現在、多くの企業がインボイス制度や新紙幣への対応で、経理システムやレジの改修に追われたばかりです。そこにきて、「2年間だけ0%にします(そのあとはまた戻します)」という変更。

  • レジの設定変更

  • プライスカード(値札)の張り替え

  • 受発注システムの改修

…これにかかるコストと労力は甚大です。特に資金力のない中小の小売店にとって、たった2年のためにシステムをいじくり回すのは、…どうなんでしょうか…。

経理・飲食業界を襲う、見えない混乱

 そして、懸念されるのが会計処理と、飲食店への影響です。

1. 経理担当者の悲鳴が聞こえる

 現在でも「10%」と「軽減税率8%」の区分けは大変、というか面倒です。「8%」から「0%」に変わるだけ…といえばそうなのかもしれませんが…。

 0%の期間中の申告はどうするのか? 8%に戻す時の在庫の扱いは? 「とりあえず0%」の掛け声の裏で、経理担当者の残業時間は増えるかもしれません。

2. 外食産業へのしわ寄せと便乗値上げ

 ここが一番の落とし穴かもしれません。 例えば、これまで税込330円(税抜300円+税30円)で売られていた食材があったとします。 消費税が0%になれば、理論上は300円になるはずです。

 しかし、もし卸売業者やスーパーが「この機会に少し利益を確保しよう(便乗値上げ)」と考え、本体価格を310円に設定したらどうなるでしょうか?

  • 一般消費者:「330円が310円になった!20円安くなった!」(お得)

  • 飲食店(仕入れ側):大打撃

→飲食店は、お客様に料理を提供する際、店内飲食なら10%の消費税を預かります。しかし、仕入れた食材の消費税は0%なので、これまでのように「仕入税額控除(預かった税金から支払った税金を引くこと)」ができません。

 値上がりした310円をそのままコストとして被る形になり、かといってメニュー価格をすぐに上げるのも難しい。 さらに、「家で食べれば0%、店で食べれば10%」という価格差が広がれば、外食控えも進むかもしれません。価格転嫁が難しい中小外食では、キャッシュフロー・実質負担が重くなりうる可能性があります。

まとめ

 「消費税ゼロ」という響きは、確かに魅力的です。 しかし、ビジネスの視点でシミュレーションしてみると、「期間限定のシステム改修」や「飲食店の仕入れコスト増」など、簡単には解決できない課題が山積みであることに気づきます。

 今回の圧勝劇の裏で進められるこの議論。 本当に私たちの生活を豊かにするものなのか、それとも検討だけで終わるパフォーマンスなのか。

 ニュースの見出しだけで判断せず、「現場はどう動くのか?」「誰が負担を負うのか?」という視点を持ち続けることが、これからの私たちには必要なのかもしれません。

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