名古屋市内で、人に寄り添う女性税理士
目次
創業時に「個人事業主と法人のどちらが得か?」と聞かれますが、
税理士の立場からすると、これは節税論ではなく、
法的責任・信用力・資金調達・社会保険・利益構造を踏まえた経営戦略上の選択です。
結論から言えば、
利益水準 × 事業リスク × 資金調達 × 社会保険負担 × 将来の組織化
これらの総合点で判断します。
● 個人事業主
所得税:5〜45%の累進課税
住民税:一律10%
→ 利益が大きくなるほど税率が跳ね上がる。
● 法人
地方法人税・事業税を含め実効税率は約30%弱
→ 法人は利益が増えても税率が急に上がらない。
法人は、利益を
①役員報酬 ②会社の利益(法人税)
に分割可能。
・役員報酬は給与所得控除が使える
・社会保険料を考慮しつつ最適化が可能
・家族を役員・従業員にするスキームも取れる
・経費としても処理できるため、利益調整の幅が大きい
個人・法人問わず原則同じ
ただし、法人化で事業年度を変えることで免税期間を最大化できるケースがある
→ “法人化時期の戦略”が極めて重
国民健康保険(所得比例)
国民年金(定額)
→ 低所得期には負担が軽いのがメリット。
健康保険・厚生年金に“強制加入”
給与に対して約30%の保険料(会社・本人で折半)
役員報酬を高く設定すると社会保険料の負担が急増
逆に、
厚生年金に加入する価値
社会保険があることでの信用度アップ
労災・雇用保険の活用
が得られる。
事前確定届出給与の活用で社会保険料削減する方法もあり。
→ 個人 vs 法人は、税金だけでなく社会保険まで含めた“総額負担”で判断する必要がある。
「無限責任」
→ 借入・損害賠償・契約トラブルがあれば、個人財産まで責任が及ぶ。
「有限責任」
→ 原則として会社の資産を限度に責任が限定される。
BtoB取引
大型設備投資
食品・美容などリスク管理の必要な業種
外注管理が多い事業
→ 法人化は“身を守る手段”であり、節税以上の意味を持つ場合が多い。
銀行融資(特に日本政策金融公庫以外)
補助金申請
大手企業との契約
BtoB取引
人材採用(社会保険整備は必須に近い)
公庫の創業融資は個人でも〇
小規模・低リスク事業なら問題なし
ただし成長に伴い必ず「法人化の壁」にぶつかる
決算書の形式が確立
キャッシュフロー計画が立てやすい
利益調整の裁量が広い
銀行・投資家からの評価がしやすい
白色申告は特に粗い
青色申告は改善するが、法人ほど精緻ではない
→ 将来的に事業管理の精度を上げたい場合は法人が有利。
利益300〜400万円程度
一人で完結する事業
リスクが小さい
融資や大口契約の予定がない
契約・信用が重要
人材採用・外注が必要
リスク(損害賠償等)が大きい
資金調達を予定している
多くの成功している創業者は次の流れを取っています。
創業は個人でスピーディに開始
売上・利益が見えてきたら、決算月・消費税・役員報酬を戦略的に設計した法人化
法人で事業を拡大
税負担だけでなく、消費税・社会保険を考慮した
“最適な法人化”の設計が大きな差を生みます。
個人か法人かは、
税務、社会保険、法的責任、事業リスク、信用力、資金調達、経営管理など多くの要素が絡む総合的な意思決定です。創業者が陥りがちな「税率で判断する」という発想では、本質を見誤ることがあるのではないかと私は考えます。